幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
八重の懇願も届かず、パパは明らかに不快感を滲ませ、那桜を睨みつける。
「姑息な手で忍び込むとは、染井らしく悪知恵が働くようだ……」
「手段を選んでいたらあなたにお目通り叶いませんからね」
「悠生!今すぐつまみ出せ!」
流石の悠生もパパの命令に動かないわけにはいかず、那桜の腕をガシッと掴む。
「待ってください!」
「二度とこの家に足を踏み入れるな」
「俺は本気で鏡花を愛しています。子どもの頃からずっと好きだった」
那桜――……。
「鏡花と一緒になるためなら、俺の全てを懸けてみせます」
「っ、那桜……」
那桜がそんな風に思ってくれてたなんて。
涙が止まらないよ……。
「……笑わせるな。一家の若頭といえどまだ子どものくせに、貴様に何ができる?」
「桜花と染井が敵対する関係を変えてみせます」
「バカなことを言うな!!何もわからん子どものくせに!!」
「でもあなたも一度、両家が協力し合う関係を目指していましたよね?」
え……?
うそ、パパが?
「美桜さんのためだったのでしょう?」
那桜もパパと美桜さんのこと知ってたんだ……。
「あなたは両家が協力し合うことを説いたが、誰にも相手にされず桜花組を追放されたと」
「そこまで知っていて、何故同じことになるとわからない?つまらん夢想に私の娘を巻き込むな!!貴様に鏡花が守れるのか!?」