幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
14.新しい未来
外に出てみて、その光景に唖然とした。
黒塗りの車が何台も停まり、そこから何人ものスーツ姿の極道たちが現れる。
極道ものドラマでこんなシーンがあったな。
敵方の極道たちで大人数で横並びになり、今にも攻め込んでくる絶体絶命というシーン。
だけどこれはフィクションじゃない、現実だ。
染井一家が殴り込みにやってきた。
「染井のヤローども、討ち入りか……!?」
「返り討ちにしてやんよ!!」
やばい、みんな殺気立ってる!
このまま激突なんてことになったら大変だ。
何とか止めないと!!
「みんな、待って……!」
「私が行く」
パパがスッと前に出ると、騒ついていた組員たちがピタッと止まった。
静かな足取りで前に進むパパ。
目の前の車から長身の男性が現れる。
口髭を蓄えたダンディなその人は、那桜の家で会った那桜の父・染井義徳組長だった。
「……久しぶりだな」
パパたちが対峙するだけで、ビリビリとした痺れるような感覚に襲われる。
「うちの愚息を返してもらおうか」
「言っておくが、勝手に侵入されて迷惑被っていたのはこちらだが?」
一言交わすごとに火花が散ってる……!!
空気が重苦しくて見てられない。
てゆーか那桜パパ、那桜のこと迎えに来たんだよね……?
「――那桜!!出てこいっ!!」