幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
* * *
私は普段迎えを断って自分一人で登校してるんだけど、今朝は八重がいたので車で送ってもらった。
「お嬢、八重姫行ってらっしゃいやせ!!」
「はいはい、行ってきます」
強面の男が車でやって来たらどう見ても目立つし、実際今も視線がすごいんだけど……狙われやすい八重を歩かせるわけにはいかないしね。
「わたくしも歩きで問題ございませんのに」
「いいの。あんたを守るのが私の役目なんだから。約束したでしょ?」
「……そうですわね」
「おはようございます、お嬢。今朝は八重姫も一緒ですか」
こ、この声は……!!
「おはようございます、那桜さん」
「八重姫、言ってくださればうちの車でお送りしましたよ?桜花組のオンボロ車よりうちの車の方が乗り心地も最高でしょう」
「誰の車がオンボロだ!!」
これ見よがしに黒塗りの高級車で登校しやがって!!嫌味すぎる……!!
「大丈夫ですわ。たまには普通の車の登校も悪くありませんもの」
「そうですか。そういえば、うちと満咲家の車種は同じでしたね」
「悪かったな普通の車で!!」
本当に腹立つセレブどもめ……!!
言っておくけど、うちの車だってそこそこ良い車なんだからね!
運転はちょっと荒々しいけど。