幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


* * *


 9月某日。とあるホテルで婚約発表パーティーが開かれようとしている。
 私も両親とともに出席していた。

 あの後私たち家族宛に正式にパーティーの招待状が届いた。
 表向きは協力関係を結んでることになってるので、桜花組の組長家族を呼ばないわけにはいかないということなのだろう。

 どんな顔で招待状出したのか知らないけど、その顔きっちり拝んでやろうじゃないの!!


「鏡花ちゃん、大丈夫なの?」


 ママが心配そうに私を見つめる。


「何が?」
「だって……」
「全っ然平気!」
「そう……」


 ママはそれでも心配そうだったけど、パパは何も言わなかった。
 正直パパがどう思ってるのかはわからない。このパーティーにもどんな気持ちで来たんだろう。

 いや、今そのことを考えても仕方ないか。


「それにしても鏡花ちゃん、赤いドレスとてもよく似合っててかわいいわぁ」


 私は八重に見立ててもらい、勝負の赤ということで真っ赤なパーティードレスを着ている。
 ヘアメイクも八重にやってもらった。ピンヒールの靴は慣れないけど、いざとなったらこのピンヒールで那桜の足踏んづけてやるんだからね。


「本当に我ながら惚れ惚れしますわね」

「八重!」


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