幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
八重は当たり前に和服を着ている。
牡丹柄の訪問着で明るく華やかで、お祝い事にピッタリだ。
その隣には警視総監である八重のパパもいた。
「やあ、鏡花ちゃん。久しぶりだね」
「お久しぶりです」
「少し見ない間に綺麗になったね」
よく見れば、八重パパのその後ろには警察官が多くいた。制服の警官もいれば、恐らく刑事さんと思われる私服警官もいる。
染井の次期組長の婚約発表となれば、警察も大注目してるってことなのかな。
他にもパーティーに参加しているのは錚々たる豪華ゲストばかりだった。
大手企業の経営者とその家族、なんかTVで見たことある人たち。
その中にものすごく綺麗な女性を見つけると、この人が那桜の婚約者?って思ってしまう。
なんか八重もだけど、みんな美人で素敵だな……。ドレスも着物もすごくよく似合ってるし。
私、ここにいても場違いじゃないかな――。
「おい、誰だよあの子!赤いドレスの!めちゃくちゃかわいい!」
「バカ!彼女はあの桜花組のご令嬢だぞ……やめとけ!」
「…………」
「……!!ヒィィっ」
なんかどこかで悲鳴みたいな声が聞こえたような?
「お嬢、あまり俺から離れないようにしてくださいよ」
「悠生」
悠生は私の護衛として一緒に来ていた。
「変な虫がつくんで」
「虫?」
こんな豪華なパーティー会場なのに虫がいるの??