幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 てかこいつ、昨日私に何を言ったか覚えてないの……??
 めちゃめちゃいつも通りなんだけど。


「…………」

「なんですか?」

「別に……」

「そんなにジロジロ見るから俺に惚れたのかと思いました」

「惚れるかぁ!!」

「残念。惚れてくれてもいいのに」


 な……っ!
 何なのこいつ……!!

 本気なのか冗談なのかわからない言動に、腹が立つ。
 やっぱり私のことからかってる!


「那桜のやつぅ〜!!」
「鏡花、置いて行きますわよ」


 そういうや否や、私を置いてさっさと行ってしまう八重。
 八重はただ歩いている姿だけでも上品で美しく、まるで姫のお通りだと言わんばかりに道がひらけていく。
 八重とすれ違う度、主に男子たちが眩しそうに見つめる。


「八重姫だ……」
「今日も麗しい……」

「キャッ!那桜くんだ♡」
「朝から会えるなんてうれし〜!今日もイケメンすぎじゃない?」


 そして女子たちの視線をかっさらうのが那桜。
 みんな、こんなやつのどこがいいの……!?


「やっぱり吉野さんって、黙ってるとめっちゃかわいいよな〜〜」
「肌白いし目もくりっとしてて人形みたいっていうか」
「付き合いて〜」


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