幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 プレゼントは悩みに悩みまくった結果、ピアスにした。


「ピアスですか」

「いつもしてるのそれくらいしかわからなかったんだもん」


 シルバーの太めのフープピアスで、内側に文字を彫ってもらった。「N & K」という二人のイニシャルを。

 数文字なら文字が彫れますよ、と言われてお願いしたんだけど、正直結構恥ずかしい!!
 なんか那桜のこと独り占めしたいみたい――。


「ありがとうございます。似合いますか?」

「似合う……」


 くそう、なんか想像してる倍以上に似合ってるの見せられると、ちょっと悔しいな。


「嬉しいです」

「あ、あと、もう一個あるんだけど……」

「え、まだくれるんですか」

「……」


 本当にこの屋上、誰も来ないんだよね……?
 改めてチラチラ確認する。

 自分で言っといて難だけど、やっぱり恥ずかしい!でもやるって決めたから!

 私はえいっ!と自分から那桜に抱きつく。


「……ハグがプレゼントですか?」

「じゃなくて、わっ私!」

「え?」

「那桜が言ったんじゃんっ」


 始まりは那桜が私に要求した誕生日プレゼントだった。

『お嬢が欲しいです』
『鏡花、俺と結婚してください』


 那桜からの冗談みたいなプロポーズ。


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