幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 絶対あり得ないと思った。
 バカにされてるんだと思った。

 でも那桜は本気で、絶対に諦めようとしなかった。
 結婚なんて考えられないと思っていた私を、少しずつ同じ気持ちにさせてくれた。


「……っ、ここまで言えばわかるでしょ!?」

「わかりません」

「はあっ!?」


 こいつ、絶対わかってるくせに!!
 思わず抱きついていた体を離し、顔を上げる。


「だから、もう一度俺の目を見て答えてください」

「……えっ」


 目の前には、大粒のダイヤモンドが光るプラチナのリング。
 那桜は私の左手を取って、薬指にはめてくれた。サイズはピッタリだった。


「鏡花、俺と結婚してください」

「〜〜っ、はい……」


 嬉しくて嬉しくて涙が止まらなくなる私の頬を優しく撫で、涙を掬い上げてくれる。
 指先から大事にされてるのが伝わって、また涙が出そうになる。


「――愛してるよ、鏡花」

「私も……、っ」


 言い切る前に唇を塞がれた。

 もう誰かが来るかもしれない、なんて考えてる余裕なんてない。
 目の前の那桜のことしか見えない。


「私の方が愛してるんだからね!」
「ほう?勝負しますか?」
「臨むところよっ」


 これからもくだらないことで競い合ったり笑ったりして、ずっと那桜と一緒にいられたらいいな――。


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