幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
* * *
「あなたたちって本当に……成長しませんのねぇ」
「「…………」」
「どうして結婚式でも喧嘩していますの!?」
「だって!」
心底呆れ返ってる八重に向かって弁解する。
「那桜が深山さんに告られたこと黙ってたんだもん!」
「卒業式の時に最後だからと言われただけですよ。わざわざ言う程のことでもないと思っただけです」
「でも黙ってられるとなんかやだ!」
「鏡花こそ婚約したとわかった途端、何故かウジ虫のように湧き出して……俺が今までどれだけ排除してきたと思ってるんですか」
「ウジ虫って何!?」
「この鈍感」
「何がよ!!」
「ああもう、嫌ですわぁ」
げんなりしたように、はぁーーーーと深い溜息を吐く八重。
この日のために仕立てたであろう、淡いピンク色の古典柄の振袖が台無しになりかけている。
いや八重だから、完璧に着こなしているけど。
「どうして晴れの日にまでこうなってしまうのでしょうか」
「……」
「痴話喧嘩はそこまでになさいませ。せっかくの晴れ着ですのに」
そう言って八重は鞄からあるものを取り出した。
桜の花の見事な髪飾りだ。
「納得の出来映えになるまで時間をかけていたら、当日になってしまいました」
「わあ!すごい!めっちゃかわいい!」
「鏡花、お掛けになって」