幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
幼稚園児の頃の那桜はかわいかった。
「きょーかちゃん」って私の後をついてくるかわいい子犬みたいで。
私も那桜と遊ぶのは楽しかった。
変わったのは小学生になったばかりの頃だ。
私は父から「那桜とは遊ぶな、関わるな」と言われた。理解できないし納得できなくて、「嫌だ」って言った。
「お前は桜花組の娘なんだぞ!染井一家の息子となんか関わるな!」
怒鳴られた私は泣きながら家を飛び出した。
なんで?何がダメなの?
私はただ那桜と一緒にいたいだけなのに。
きっと那桜もそう思ってくれているはずだって。そう思っていた。
「……もう、きょーかちゃんとはあそばない」
「な、なんで……?なおちゃんときょうかは、ともだちでしょ!?」
「ともだちなんかじゃない」
「……っ!」
「ともだちになりたいとおもったことなんて、いちどもないよ」
その言葉がショックすぎて、頭から布団を被って一晩中泣いた。
仲良しだって、友達だって思っていたのは私だけだった。ものすごく傷ついた。
それから私も意識を変えた。
那桜はライバルで敵なんだって。
那桜にだけは絶対負けたくないって。
私は本気で勝ちたいと思っているのに、あんな風にバカにするなんて――
「絶対許さないんだから!!那桜のアホーー!!」