幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
* * *
「あのやろーー!!乙女の……を返せーー!!」
何かは恥ずかしくて言いたくない!!
「大体想像がつきますわ」
「うわ〜〜〜〜〜!!!!」
現在、満咲家の邸宅にお邪魔している。
自宅に帰ることが無理すぎた私は、学校帰りにその足で八重ん家へ直行した。
「いやよく考えて鏡花。あれは、キス(裏声)なんかじゃなかったのよ。そう、あれは唇同士の激突!!」
「それをキスというのではなくて?」
「言うな!!違うから!!」
ダメだ、思い出してしまう。
頭の中にさっきの光景が浮かび上がり、私の頭は爆発しそうになる。
「うわーーーーー!!!!」
「ああ、もしもし。桜花組の方ですか?八重です。鏡花はうちに泊まることになりましたので……はい、はい、よろしくお願いしますわ」
私が頭を抱えて叫んでる間に、八重は電話を済ませていた。
「とりあえず鏡花、これから湯浴みの時間ですの。鏡花も入りませんこと?」
「入る……」
「では参りましょうか」
八重は大の温泉好きで、わざわざ源泉かけ流しの温泉を取り寄せて自宅のお風呂にしている。
というかお風呂というより、大浴場といった方が正しいかもしれない。旅館の大浴場並に広いのだ。
子どもの頃から何度も入らせてもらってるけど、やっぱり気持ちいいな……。
さっきまでの荒んだ心が洗われてゆく。