幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
「あーー……、いいお湯」
「今日は別府温泉の源泉ですわ」
「贅沢なことしてるなぁ」
八重の肌がぷりぷりツヤツヤなのも毎日温泉に入っているからなのか。
「それで鏡花、那桜さんにキスされましたの?」
「…………」
私は顔から半分までお湯に浸かる。
「嫌でしたか?」
「そりゃ嫌だし、ムカつくよ!あいつが何考えてるか全然わかんない。
本気とか言ってたけど、マジで私と結婚したいの……?」
だとしたらなんで?那桜の気持ちが全然わからないよ。
一体何を考えてるの?
「鏡花って頭は良いのにアホですわよね」
「オイ」
「幼馴染として言いますが、那桜さんは何とも思ってない相手にプロポーズだなんてしませんわ」
「だって好きな人いるって言ってたんだよ!?」
「その相手が鏡花だとは思いませんの?」
那桜が、私のことを好き……?
「あり得ないよ!!」
「そうでしょうか」
「だって私たち敵同士だもん!」
そもそも先に離れて行ったのは那桜の方だ。あんなにはっきり友達だと思ったことはないとか言っておいて、今更何なの?
そんなの信じられるわけがない。
「結婚は、本当に好きな人とするものだもん……」