幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
「旦那様より言伝を預かりまして。明日からしばらく外出をしないようにと」
「何故です?」
「お嬢様のためだそうです」
「またですか……」
途端に八重の表情が曇った。
八重の父親は八重を溺愛しており、警視総監の娘で何かと狙われやすいということもあり、非常に過保護なところがある。
実際子どもの頃に誘拐されかけた時は、自宅にしばらく軟禁状態にされた程。
「学校がありますわ」
「学校にも行かないようにだそうです」
「お父様の無茶苦茶にも困ったものですわね……」
「あのっ、私が八重についてます!」
私は思わずハイ!と手を挙げていた。
「学校でもずっと八重についていますから!」
「ですが……」
「大丈夫です。私に任せてください。八重のことは絶対に守ります!」
メイドさんは少し考えるような仕草をしたが、目を伏せてこくりと頷いた。
「……わかりました。旦那様にはそう伝えます」
「ありがとうございます!」
「鏡花……」
「大丈夫だって。何があっても絶対に守るよ!」
それが八重と交わした約束だもんね。
「本当に鏡花は……」
「え?」
「いえ、何でもありませんわ。ありがとうございます、頼りにしていますね」
「任せて!」
八重が自宅に軟禁状態にされた時、私は八重パパにお願いした。
八重のことは絶対守るから、お外に出して欲しいって。だから何があっても、私が守るよ。