幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


* * *


 それから翌日、私たちは満咲家の高級車にて登校。今日も今日とてものすごく注目を集めた。

 那桜のことは完全無視。何か言いたげに話しかけられそうになっても、私は八重を連れて逃げる。

 私のファーストキスを奪った罪は重いんだからね。

 詳しい事情は知らないけど、八重の身に危険があるようだし、今は那桜のことなんか気にしてる暇はない。学校内でもなるべく八重から離れないようにした。


「お……、」
「八重!そろそろ帰ろう!うちの車呼んであるから!」


 放課後まで那桜を徹底的に避け続けた。八重はぺこりと那桜に会釈し、私と一緒に歩き出す。

 校門を出ると、もう目の前に止まっていた。


「お嬢様、お迎えにあがりました」


 車から出てきたのは、黒スーツに黒いサングラスの男だった。私たちに向かってにこやかに微笑みかけるが、私はすぐに八重の前に立つ。


「あなた誰!?」
「え?ですから、お嬢様のお迎えに」
「うちの者にそんなビシッとスーツ着たやついないし、そもそも私のことをお嬢様と呼ぶやつなんかいない!」
「…………」


 次の瞬間だった。背後から別の男が現れて、私たちの口を塞ぐ。


「っ!?」

「案外すぐにバレちまったか。まあいい、満咲の娘を連れて行け」


 こいつら、八重を誘拐しようとして……!!

 口を塞がれ、羽交い締めにされた八重は苦しそうにしているも、身動きが取れずにいる。

 このままじゃ、八重が連れて行かれる……!!


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