幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
4.助けてくれる理由
「オラ、そこで大人しくしてろ」
私が連れて来られた場所は、薄暗い倉庫のような場所だった。ヤンキードラマで敵のヤンキーに捕まり、捕縛されるシーンでよく使われるような場所。
椅子に座らされ、両手は後ろに回されて縛られている。足もしっかりと縛られ、身動きが取れない。
目隠しは外されたけど、代わりに口元に布を当てられて喋れなくされている。
私を拉致した黒スーツ、黒サングラスの男は私の目の前に立ち、私を見下ろす。
それからサングラスを外し、私の顔をまじまじと眺め出した。視線が気持ち悪くて、縛られてなければ股間に蹴りを入れていたところだ。
「お前、よく見るとなかなかいい女だな」
「…………」
「意外に利用価値があるかもしれねぇな」
普通の女の子なら怖くて仕方ないところだけど、私は桜花組の娘。こんなやつら、別に怖くなんかない。
でも今のままじゃどうにもならないし、こいつらの目的もわからない。
八重を誘拐しようとしてたのが目的なら、多分満咲家に恨みのある人物だとは思うけど。
「お前が満咲の娘じゃないことはわかってる。ただの女子高生なら恐怖に震え上がるところだが、お前のその物怖じしない目。只者じゃねぇだろ」
……やっぱり騙せないか。