幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 桜の家紋は正義の証。
 警察の旭日章(きょくじつしょう)が「桜の代紋」と言われているのと同じように、悪を挫く者としての誇り高い家紋なのだ。


「誰なんだうちのお嬢を負かせやがったのは!」
「大声で言うなボケ!!」
「まさかお嬢、またあいつに……」

「染井がなんなのよーー!!」

「お嬢ーー!!」


 思い出しただけでイライラする!!
 私はレモネードをビールのように飲み干す。「おかわり!!」と叫べばすぐにおかわりが出てくるので、2杯目も一気飲み。


「荒れてるなぁ、お嬢……」
「何故かレモネードがビールに見える……」


 私の天敵・染井那桜。
 奴はうちの商売仇である染井一家(そめいいっか)の若頭だ。

 染井一家も桜花組と同じ警察公認の極道で、うちと並んで関東極道の双璧と謳われる。
 警察では介入できない裏取引や麻薬、違法賭博といった取締を主に行っている。
 頭脳派が多く、ビジネスにも幅広く展開している。極道のくせに。

 桜花組と染井一家は古くからのライバル同士。これまで警視総監の管理下で緊張状態を保っているけど、今でも歪み合い蹴落としたいと思っている犬猿の仲。

 だから那桜は幼い頃から私の倒すべきライバルなのだ。


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