幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
5.那桜との向き合い方
あれから。
染井一家が一掃したことで詐欺グループは軒並逮捕。詐欺グループのリーダーは兼ねてより警察に恨みがあったらしく、八重を誘拐しようとしたのはその辺りが理由らしい。
八重は無事だった。
私が拉致された後、すぐに那桜を呼んだらしい。八重は私を見るなり、唇を震わせてぺちんと頬を叩く。
全く痛くはなく、弱々しいビンタだった。それからぎゅっと私を抱きしめる。
「…………っっ」
「――大丈夫だよ。私はそんな簡単にやられないから」
「〜〜〜〜っっ」
「そういうことじゃないって?でも、もう大丈夫だから」
私にしがみついたまま、声を震わせている八重の頭をポンポンと撫でる。
まあとにかく一件落着だ。
いや、落着はしていない。
* * *
「おはようございます」
「っ!?!?」
翌日。学校まで送ります!という組員たちを振り切り、いつも通り歩いていこうとしたら、目の前に那桜がいた。
思わず周囲を見回してしまう。
「何しに来たの!?」
「迎えに来たんですよ」
「!?」
「さあ、行きましょう」
いやスタスタ歩いてるけど何言ってるんだ!?
「ちょっ、誰かに見られたらどうすんの!?つーかなんであんたと一緒に行かなきゃいけないわけ!?」
「お嬢と一緒に行きたいからですが?」