幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
いやますます何言ってるんだ????
「お嬢はもっとハッキリ言わないと伝わらないようなので」
「なっ、なっ」
「お嬢、俺に借りありますよね?」
……うぐっ!それを言われると……。
「そもそもあんなことがあった翌日、普通に徒歩で行くバカいますか?」
「うるさいな!!もう捕まったんだし大丈夫じゃない!」
「これだからあなたって人は目が離せないんですよ……」
「何をう!」
「早く行きますよ」
勝手に迎えに来ておいてなんで偉そうなの??
ほんっと意味わからん。
てか組の連中に見られたらどうするのよ!!
思わず周囲を見回してしまったけど、とりあえず知り合いには見られてないみたいだ。
「そうだ、お嬢」
「な、何?」
ほんとこいつ平然としすぎてて腹立つな。
「週末空いてますか?」
「あ、空いてるけど」
「俺とデートしません?」
何だって????
デートとかって聞こえた気がしたけど、幻聴かな?私の耳、ついにイカれたのかな?
「デートですよ。で、え、と」
「はあああああああ!?!?」
思わず鼓膜を破りそうな大声をあげてしまった。咄嗟に耳を塞ぐ那桜。
道行く人たちも何事かとビクッとしてこちらを振り返る。
す、すみません……とぺこぺこしてから、私は気持ち声のボリュームを抑えた。