幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 那桜に連れて来られた場所は、大人も子どもも大好きな遊園地・ベリーズランド。
 その名の通り、苺をモチーフにしている夢かわいいテーマパークだ。


「ここを貸し切りました」

「貸し切り!?!?」


 確かに日曜日だというのに、スタッフと私たち以外誰もいない。
 客入り時の日曜日にそんなことできるの!?


「何してんの!?」

「ベリーズランドはソメイコーポレーションが9割スポンサーをしていますので」


 因みにソメイコーポレーションとは、染井一家が運営するなんかバカデカい会社のこと。
 何をしてるのか私にはよくわからないが、名前を聞けばああ、となるようなかなりの大手企業だ。

 警察公認組織とはいえ、極道のくせに会社経営なんかして生意気なのだ。


「今年から俺もソメイコーポレーションの経営に携わっているのでね。快く貸し切らせてくださいましたよ」

「マジかよ……」


 今更だけど那桜って……、もしかしなくてもものすごくハイスペック?
 若頭にして経営者って、どんな高校生だよ!?


「遊園地の貸し切りだなんて夢がありますわ〜。まずは何から乗りましょうか?」

「……………」

「鏡花?」

「いくら染井がすごいからって、これで勝ったと思わないことね!最後に勝つのは私なんだから!!」


 左手を腰に当て、ズビシ!と右の人差し指を突きつける。


「……お嬢は何の勝負をしてるんですかね」
「さあ……?謎ですわね」


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