幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
「ちょっと那桜!離してよ!!」
「離したら逃げるでしょ」
「逃げ……ないよ」
「お嬢は嘘つく時目を逸らしますよね」
うう……。なんでそんなこと見てるんだ。
「あ、お嬢、レモネードありますよ」
「えっ!?」
レモネードという言葉に即座に反応する。目の前にドリンクショップのワゴンがあり、大きくレモネードの写真が出ていた。
ベリーズランドらしく、苺やブルーベリーなどの果肉入りのベリーレモネード。こんなの絶対美味しいに決まってる!!
「飲む!!」
「では、ベリーレモネード二つください」
「えっ!?」
手を離すことはなく、那桜は左腕に付けているウェアラブル端末でピッと簡単に会計を済ませてしまった。
「どうぞ」
「えっ、お金」
「いりませんよ」
「なんでよ!払う!」
「いりません。デートなんだから、カッコつけさせてくださいよ」
「……っ」
那桜に借りはもう作りたくない。
なのにそんな風に言われたら、なんか、なんか……。
「あり、がとう……」
素直に受け取るしかないじゃん……。
「――かわいい」
「はっ!?」
「いや、お嬢が素直だとかわいいなって思っただけです」
「なっ……!」
自分でもわかった。顔から湯気が出そうなくらい赤くなってるって。