幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「それと、今日の格好もかわいいですよ」

「八重のおかげでしょ?」

「お嬢はいつもかわいいですよ。今日は特別かわいいですけど」

「ええっ!?」

「貸し切りにしてよかったです。誰にも見せたくないので」


 何!?何なの!?
 急に那桜がおかしくなった!?


「どどどどうしたの!?あんた熱でもある!?」


 いつもの嫌味野郎はどこいった!?


「めちゃくちゃ元気ですけど」

「じゃあ頭のネジ飛んだ!?」

「あなたって人は失礼ですね……。好きな子とデートできて浮かれてるだけですよ」

「!?」


 ……私の目の前にいるこの男は誰?
 思わずまじまじと凝視してしまった。

 キューティクルな黒髪をサラッとセンターパートで分けていて、高校生なのにめちゃくちゃ大人びて見えて。涼やかな目元に凛々しい眉、まつ毛は憎たらしいことに天然で長い。
 誰かが言ってたけど、韓流アイドルにいそうな顔らしい。

 両耳にはピアスが空いているのが生意気。似合っているのがまた生意気。

 つーか那桜って、こんなに顔が良かったの……?


「そんなに見つめられるとうっかりキスするかも」

「はあっ!?」

「冗談です」


 悪戯っぽくニヤッと笑った笑みですら、顔が良い。


「半分だけ、ね」

「〜〜っっ」


 私はもう声にならない言葉を自分の中で消化できなくて、ベリーレモネードを一気飲みした。氷まで一気に流し込んだから頭がキーンとした。


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