幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
こんな風に憎まれ口叩き合っているけど、実はさっきからずっと手を繋いだままなんです……。
あれから那桜はずっと離してくれない。指は絡まり合ったまま、もう手汗がすごそうで離して欲しいんだけど、妙な力でがっちり繋がれている。
つーかこいつ、わざわざ貸し切ったのこのためか……?
人目を気にする必要がないから?
誰にも見られないようにベリーズランド貸し切りって、ボンボンすぎるでしょ……。
大量のお土産を抱えてショップを出た。流石に待ちきれないので宅配便で送ってもらおうしたら。
「――お客様!困りますっ!」
エントランスの方から女性スタッフさんの声が響いた。
「今日は貸し切りなんです……!」
「日曜日に貸し切りってどういうことじゃあ!?兄貴はなぁ、年パス待っとんのやぞ!!」
「でも、今日は……」
「オオン!?」
大柄な男二人がスタッフに向かって因縁つけている。どちらも黒いサングラスをかけ、一人はリーゼントでもう一人は横幅のある恰幅の良い男だった。
どう見てもヤンキーがベリーズランドに入れなくて怒っているらしい。
「年間来場数200回以上の兄貴のことナメとんのかぁ!?」
リーゼント男が今にもスタッフにつかみかかろうとした瞬間、
「うがっ!?」
咄嗟にリーゼントの懐に潜り込み、グイッと胸ぐらを掴んだ。
「ベリーズランドは暴力禁止よ」