幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 那桜はじ、と私の目を見つめる。
 目を見られるのは苦手だ。他の人とは違うグレーの瞳が昔からコンプレックスだったし、那桜に見つめられるのはなんか落ち着かないから。

 私は赤く腫れた腕をさすりながら、ふいっと顔を背ける。


「そんなの当たり前でしょ」

「なんで?」

「なんでって……」


 ライバルだからに決まってるでしょ……!?
 それ以外に何があるっていうの?


「バカですね。一人で無茶するから俺に勝てないんですよ」

「なっ!」

「ほら冷やして」


 那桜は強引にアイスノンを私の腕に押しつけた。
 キーンという冷たさが腕に走る。

 ちょっと痛みも感じるけど、気持ちいい。
 このアイスノン、いつの間に用意してたんだろう。


「…………」


 男子のゲームが始まった。
 身長も高くて一際目立つ那桜だけど、高いトスを上げてアタックのチャンスを作ってあげてる。すかさずチームメイトがアタックを決めた。

 鋭いサーブもしっかりレシーブする。もちろん自分も積極的にポイントを獲っていた。
 チームメイトと笑顔でハイタッチを交わす那桜を見て、私は何をしてたんだろうと思った。


「みんな、さっきはごめん。ワンマンプレーで迷惑かけたよね」


 バレーボールはチームスポーツなのに。


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