幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 なのに私の隣で那桜は棒立ちだから、那桜に向かってバルーンを振り回す。


「那桜も踊ったら?」

「俺はいいです」

「ノリ悪〜」

「お嬢の楽しそうな顔が見られたら十分なので」


 ……何それ。
 また不意打ちでドキッとさせる……。

 私はサッと那桜から目を逸らした。


「……つーかなんでベリーズランドなの?似合わなすぎじゃない?」


 意外と男性にも大人気なことはわかったけど、それでも那桜には似合わない。
 なのに9割方スポンサーもやってるとか、そんなに力入れてるのが意外すぎる。

 まあ、ビジネスのことはよくわからないけど。


「……覚えてないんですか?」

「え?」

「お嬢が言ったんですよ」


 え……、そんなこと言ったっけ……?


「――あっ!」


 そういえば、幼稚園の頃。「ぼく・わたしの夢」というテーマで絵を描いたことがあった。
 他の子が「○○になりたい」といった夢を描いていた中、私は遊園地貸し切りにしていっぱい遊びたい!って描いたっけ……。


「あんな昔のこと覚えてたの?」

「覚えてましたよ」

「まさか、そのためにスポンサーにまでなったの?」

「それが何か?」


 嘘でしょ……。
 いくら何でもそこまでする?


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