幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。





「っ、はぁ……」

「鏡花……」



 心の真ん中には、那桜がいた。

 これを恋と呼んでいいのかはわからない。

 でも、歪でも私の心にはいつも那桜がいる。
 いつも真っ直ぐ私を見つめる那桜のことが、多分好き。



「那桜……っ」

「っ、煽るな」



 一瞬見えた那桜の顔は赤かった。
 すぐにぎゅっと抱きしめられて、那桜の胸の中に閉じ込められる。

 那桜の匂いがする。それがすごく安心できて、ドキドキする。


『家のことではなく、きちんと那桜さん自身と向き合うのです』


 これが八重の言っていた向き合うことなのかわからないけど、私は私自身の答えを見つけられたような気がする。

 那桜とこうしているのは嫌じゃない。
 むしろ好きなのかもしれない――……。








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