幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
7.大嫌いの反対
私たちの前に現れた金髪にゴツめのピアスをいくつも開けたこの少年の名は、枝垂悠生。
年は私より一つ上で、桜花組で一番若い組員だ。
悠生は中学生の時、桜花組に拾われてきた。それ以来年が近いことから、私の遊び相手で兄的存在でもある。
まあぶっちゃけ年齢が一個上というだけで、お兄ちゃんというより弟みたいなところがあるんだけど。
「……お嬢、久しぶりっすね」
「悠生!いつ帰ってたの?」
「今日の昼過ぎに」
悠生は去年から桜花組の大阪支部に出向していた。
「帰って来たのにお嬢がいないし、出かけたって聞いたんで迎えに来たんすけど」
悠生はチラリと那桜を睨む。
「なんで染井一家の若頭がお嬢といるんだ?」
「……」
バチバチバチ!と二人の間に火花が見える。
那桜は笑顔だけど、目は全く笑ってないし狼のような殺気を醸し出していた。
「あーー!!たまたま!たまたま帰りが一緒になったの!!」
慌てて二人の間に割って入る。
「ついてくるな!って言っても那桜がついてくるから!!」
「ほう……?つまりお嬢をストーカーしてると?」
パキ、と指の関節を鳴らす悠生。
顔が怖い!!目が据わってるよ!!
「そんなんじゃないから!!悠生帰るよ!!」
「ちょ、お嬢」
「早く!!」