幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「あ、それからお嬢……」
「ちょっと待って!!」


 急にスマホが鳴り、画面に表示された名前を見て飛び上がりそうになる。


「で、電話してくるっ!」
「誰とっすか?」
「や、八重だよ!!」
「ああ、八重様。八重様にも挨拶しなきゃっすね」
「わかった!伝えとくね!!」


 私はそう言ってダッシュで部屋を出る。
 廊下に誰もいないことを確認し、通話をタップした。


「も、もしもし……?」

『こんばんは』

「……っ!」


 やばい、声を聞いただけでめっちゃドキドキする!


「な、那桜?」

『俺からかけたんだから当たり前じゃないですか?』


 電話越しにクスクス笑っているのが聞こえる。


「な、なんか用……?」

『いえ、お嬢の声が聞きたくなったので』

「っっ!!」


 今の気持ちを一言で表すのなら。心の中でリオのカーニバルが開催されている。


「そ、そうなんだっ」


 なんかスカしてる風の返事しちゃったけど、心の中では「声が聞きたくなったって何!?かわいすぎん!?めっちゃキュンキュンしちゃったんだけど!!」と大暴走。

 那桜がかわいく思える日がくるなんて!!


『なんだ、流石のお嬢もそれくらいじゃときめいてくれないんですね』

「当たり前じゃ〜ん。私そんなにチョロくないしっ」


 実際は心臓ギュンギュンだけどな!!



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