幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 悠生が確信をつくようなことを言うので、ドバッと冷や汗が出る。


「当たり前じゃん!!他にいる!?」

「お嬢、八重様以外に友達いませんもんね」

「いるわ!!」


 まあ頻繁に連絡取って遊ぶのは八重しかいないけど。


「これでも昔よりは友達増えたんだからねっ」


 昔はそれこそヤクザの娘って白い目で見られることが多かった。一緒に遊ぼうって言っても遠巻きにされたり、何もしてないのに極端に怖がられたり。
 高校に入学してからかな。うちの高校はクラス替えがないおかげで、段々とみんなと打ち解けられるようになってきたんだよね。


「よかったっすね」


 悠生は柔らかく微笑む。


「俺と出会ったばっかの頃、今日も話しかけられなかった〜って泣いて帰ってましたもんね」

「そんな昔の話引っ張り出さないでよっ」

「だから俺が練習相手にされて」

「……よく覚えてるじゃん」

「覚えてますよ。泣きながら帰って来るのにみんなと友達になるんだって、絶対諦めないお嬢が印象的だったんで」


 悠生は私の頭をポンポン撫でた。


「泣き虫お嬢が成長したっすね」

「何急に兄ヅラしてんの?一個上のくせに」

「一個上でも俺のが上っす」

「年だけな!」


< 71 / 176 >

この作品をシェア

pagetop