幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
「お嬢……、」
「わっ私に話しかけないでっ!!」
想像以上に大声をあげてしまった。
思わず教室中がシーーンと静まり返る程。こんな空気にするつもりはなくて、ハッとしてオロオロしてしまう。
「あっあの、ごめん、大声出して……」
「わかりました」
那桜は真顔だった。だけど声のトーンは1オクターブは低かったし、なんかすごく目が怖い。
「もうお嬢には話しかけませんので」
冷たく言い放つと、那桜はスタスタと通り過ぎて自分の席に着いてしまう。
その時ちょうど今登校してきた八重と目が合った。八重の目は「やれやれ」と言っていた。
ああ、やってしまった……。
流石に那桜を傷つけたかな……?
恥ずかしさとか色々焦ってあんなこと言っちゃったけど、良くない言い方だった。昨日の電話も嬉しかったのに一方的に切っちゃったし、謝ろう……!
「なっ……!」
「那桜くーーん!」
「何でしょう?」
「今日プリ撮りに行かない?」
私を遮り、さりげなくボディタッチしながら那桜を誘ったのは、クラス一の綺麗系ギャル・深山さん。
明るめの長い茶髪は癖一つなく、いつも綺麗なサラサラストレートが眩しい。
「プリ?俺と深山さんがですか?」
「そう〜!那桜くんとは撮ったことないなぁと思って!」