幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「お嬢……、」
「わっ私に話しかけないでっ!!」


 想像以上に大声をあげてしまった。
 思わず教室中がシーーンと静まり返る程。こんな空気にするつもりはなくて、ハッとしてオロオロしてしまう。


「あっあの、ごめん、大声出して……」
「わかりました」


 那桜は真顔だった。だけど声のトーンは1オクターブは低かったし、なんかすごく目が怖い。


「もうお嬢には話しかけませんので」


 冷たく言い放つと、那桜はスタスタと通り過ぎて自分の席に着いてしまう。
 その時ちょうど今登校してきた八重と目が合った。八重の目は「やれやれ」と言っていた。

 ああ、やってしまった……。

 流石に那桜を傷つけたかな……?

 恥ずかしさとか色々焦ってあんなこと言っちゃったけど、良くない言い方だった。昨日の電話も嬉しかったのに一方的に切っちゃったし、謝ろう……!


「なっ……!」
「那桜くーーん!」
「何でしょう?」
「今日プリ撮りに行かない?」


 私を遮り、さりげなくボディタッチしながら那桜を誘ったのは、クラス一の綺麗系ギャル・深山(みやま)さん。
 明るめの長い茶髪は癖一つなく、いつも綺麗なサラサラストレートが眩しい。


「プリ?俺と深山さんがですか?」
「そう〜!那桜くんとは撮ったことないなぁと思って!」


< 74 / 176 >

この作品をシェア

pagetop