幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 え……、プリってそんな感じで撮るものなの?
 男女で撮る時って普通カップルとかじゃないんだ!?


「そういうのは、彼氏と撮った方がいいんじゃないですか?」


 ……!


「え〜〜!!でも那桜くんと撮りたいんだもん」
「お誘いは嬉しいですが、すみません」
「や〜ん!那桜く〜〜ん!」


 誘いを断る那桜を見て、ホッとしている自分がいる。那桜なら多分断ると思ったけど。

 バチっと那桜と目が合って、ドキッとした。
 でもすぐにふいっと逸らされる。

 そんなに明らかに目を逸らさなくてもいいじゃん……!

 その後も話しかけようとするのだけど。


「な……」
「那桜〜!昼休みバスケしね〜?」
「いいですね」

「な……」
「先生、そちらの資料職員室までお待ちします」
「あらやだっ♡染井くんありがとう」


 どこまでも完全スルー!!


「な……」
「八重姫は選択科目は書道でしたね」
「ええ、そうですわ」
「そちらの道具、教室までお持ちしますよ」
「でも那桜さんは書道ではないですよね?」
「大丈夫です。美術の先生はいつも来るのが遅めですし、前回の課題の続きですから」
「そうですの……本当によろしいのでしょうか」


 そう言って八重はチラリと私の方を見やる。


「大丈夫です。さあ行きましょうか」


< 75 / 176 >

この作品をシェア

pagetop