幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
那桜は私のことなど見えていないかのようにガンスルーを決めて行ってしまった。八重がチラチラ私と那桜を交互に見ながらも、那桜についていく。
ちなみに私の選択科目は音楽です。そろそろ行かないと遅刻します。
「………那桜のばか」
確かに私が悪かったけどさ、あんなあからさまに避けなくてもいいじゃん。
いや、私もあんな風に那桜のこと避けまくってた時あったんだっけ。那桜もこんな気持ちだったのかな……。
「あ〜〜〜〜〜!!もうっ!!」
ウジウジしてるのは私の性に合わない。こんなことでへこたれてなんかやらないんだから。
とりあえず私も音楽の授業に向かおうとしたら。
「――ないっ!?」
なんとリコーダーが鞄の中に入ってなかった。
入れてきたと思ったのになんでないの!?今日はリコーダー使うのに!私だけ棒立ちで手拍子させられることになるじゃん!!
最悪だ……。
そう落胆していた時、ピコン!とスマホの通知が鳴った。
「え、悠生?マジ!?」
メッセージを見て慌てて教室を飛び出して校門前まで走っていく。目の前にはリコーダー片手にひらひら手を振る悠生がいた。
「悠生!!」
「お嬢、はい」
「ありがと〜〜!!助かったよ!!」