幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
8.彼女になりたい
「行ってきまーす!」
「お嬢、送りましょうか?」
「へーき!じゃね、悠生!」
「あの、お嬢」
「ん?」
「いや……なんでもないっす」
「なんだそれ」
「行ってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
「……お嬢が染井のクソガキとなんて、ねぇよな……?」
* * *
いつもと同じ通学路。いつもと違うのは。
「おはようございます、お嬢」
「!!」
当たり前のように那桜が待っていること。
ドキーン!と心臓が高鳴ってしまうこと。
「な、なんでいるの?!」
「お嬢に早く会いたいからに決まってるでしょう」
「っ!!」
「いや、俺の婚約者に、かな」
「だから婚約するとは言ってないからっ!!」
まさかまさかの天敵である那桜と両想いになってから、一夜が明けた。
未だに信じられない。
「てゆーか外でそういうこと言うのやめて!!誰が見てるかわからないじゃないっ!」
「大丈夫ですよ。今日は絶対来るなと脅してきたんで」
「いや大事な組員脅すなよ」
「別に俺はバラしても構わないんですが」
そう言って私の手を取りチュッとキスする。
「むしろ世界中に触れ回りたいくらいですよ――鏡花は俺のものだって」
「な……っ」