幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
さりげなく那桜の肩に手を添えてナチュラルタッチしてる深山さん、あざとい上に今なんて言った??
「那桜くんの彼女に立候補してもいい?」
「お気持ちだけ受け取ります」
「え〜!那桜くん彼女いるの?」
「いませんけど」
いません。
「じゃあ私のこと彼女にしてよ!!」
「ははは」
「も〜!笑って誤魔化すんだから〜!」
いません、かぁ……。
いやまあ、秘密にしてって言ったの私ですし……?
実際バレたら困りますし?
問題はないんだけど、なんだろう。
なんか目の前で否定されると……、
「寂しい。彼女いないって言われてみると、案外寂しすぎる……」
「八重!!」
「なーんて思っているんじゃなくって?」
このお姫様、突然現れたと思ったら勝手にモノローグを……!!
「別に寂しくないからっ」
「痩せ我慢はよくありませんわよ」
「してないから!!え、てか八重、もしかして」
「昨日那桜さんから報告されました。やっとこの日が来たのかと……思わず赤飯を炊いてしまいましたわ」
そう言って見せられたのは、重箱のような弁当だった。いやこれ、重箱そのものだな??
「勢い余って作ってしまいましたの。責任取って食べてくださいね?」
「そんな責任の取らされ方初めてだわ」
「うふふ。……これからは那桜さんの彼女、ですわね」