幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 私の耳元でこそっと囁く八重。
 珍しく八重にしてはテンション高い。明らかにルンルンウキウキしてるのが伝わってくる。重箱弁当からも。

 でも……、


「彼女、なのかなぁ……」

「ええっ!?この期に及んでまだそんなこと言ってますの!?」

「だ、だって……」


 那桜は付き合って欲しいとは言ってない。
 那桜が私に申し込んだのは交際ではなく、プロポーズだから。

 で、私はプロポーズにOKしたつもりはない。


「そうなると私たちの関係って、何なの……??」

「……めんどくさいですわ」


 とても麗しの八重姫から発した声とは思えないような、酷く呆れ返った低音が聞こえた。
 他の誰にも聞かれていないことを祈った。


「あなた方のめんどくささは天下一ですわ……」

「だっていきなり結婚とか言われても!順序があるじゃん!」

「確かにそうですけれど、両想いには変わりないのでしょう?それで良いではありませんか」

「〜〜っっ」

「それとも結婚するのが嫌なのですか?」

「そうじゃないけど……」


 ぶっちゃけ本音を言えば嬉しい。
 私と結婚したいって思ってくれる気持ちはものすごく嬉しい。

 でもでも、そうじゃないんだよ。


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