幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「鏡花、思っていることはきちんと言葉にしないと伝わりませんわ」

「……」

「昼休み、その重箱を空にして返してくださいね。食べ切れないのなら、那桜さんにも差し上げてください」

「あっ、ちょ……」


 ドーン!と積み上がった重箱弁当を押し付けられる。


「誰かに見られても、早食い対決をしていると言えば良いですわ」

「あっ八重!何早食い対決って!!」


 いい加減なアシストをして八重はスタスタと行ってしまった。
 那桜も深山さんをやんわりあしらいながら行ってしまったし、私と重箱弁当だけが残される。

 いやこの弁当、重っ!!
 八重ってばどんだけ作ったの!?

 これは本当に食べ切れないから、那桜にも食べさせよう……。
 早食いはともかく、八重の作ったお弁当食べてるところなら見られてもなるほど、って思われそうだし。

 そもそもなんで重箱弁当?って疑問は八重姫だから、で納得してしまう謎の説得力がある。

 とにかく!八重が二人で一緒にいても怪しまれないアシストをしてくれたわけだし!
 那桜にメッセージ入れとくか……。


「昼休み、屋上で待ってる」


 いや果たし状かよ!!!!

 自分で自分のメッセージに突っ込んでしまった。
 こういう時、深山さんならどんなメッセージを送るのかな……。


< 87 / 176 >

この作品をシェア

pagetop