幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
ピコン。
「果たし状ですか?」
「違う」
ピコン。
「決闘するのかと思いました」
「違うわ」
「お弁当」
「一人じゃ食べ切れない」
……いや私誘うの下手すぎない??
だって恥ずかしいんだもんっ!!
そもそも那桜とLIMEのやり取りなんてしたことないし!!なんで交換したのかも覚えてないし!!
ピコン。
何度目かの通知音が鳴って画面を覗き込む。
うっ。もう、なんなの……。
「デート楽しみにしてますね」
たかが昼休みにお弁当食べるだけなのに……。
でも嬉しくてにやけそう……。
教室に入ったら、那桜はもう自席にいて深山さんや他のクラスメイトたちに囲まれていた。
(極道のくせに)外面と人当たりは良いので、那桜の周りにはいつも人がいる。
不意にバチッと那桜と視線が合って、ドキッとした。那桜はニコッと微笑みかける。
間違いなく私に向かって。
「……バレたらどうすんのよ」
でもやっぱりキュンキュンしちゃうお手軽な私。
私の席は真ん中の列の一番後ろ。那桜の席は私の席から、左斜め前にある。
だから自席に行く時、必ず那桜の横を通る。
――ちょん。
「……!!」
すれ違い様に触れ合う手。
ほんのちょっとだけ、手の甲が一瞬重なっただけなのに。
「〜〜っ!!」
秘密の合図みたいで、めちゃくちゃドキドキする。