幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


* * *


「これはまた見事な重箱弁当ですね。重箱にコロッケとか春雨とか春巻きとか、なんでも雑多に詰め込むところが八重姫らしい」

「なんか中身は子どもの好きなもの詰め込みました!っていうお弁当みたい」

「お嬢が子ども舌なのが顕著にわかります」

「ほっといてよ」


 確かに八重が作ってくれたおかず、全部私の大好物ばっかりだけど。

 昼休み。誰もいない屋上で二人きり。
 この特大重箱弁当で目立ちまくったけど、那桜と一緒のところは見られてないはず……!!


「お嬢、はい。飲み物買ってきました」

「あ、ありがとう」


 手渡してくれたのは、ペットボトルのレモネード。この前新発売されたばかりのやつ。


「これ!飲みたかったやつだー!」

「だろうと思いました」

「やった〜〜!ありがとう!」


 わーい♪って受け取ってからハッとする。
 なんかめっちゃはしゃいじゃったな!?

 絶対バカにされるやつだ!!


「……かわいい」

「えっ」

「なんですかそれ……かわいすぎる」


 えっっ……な、那桜が照れてる!?
 嘘でしょ……?そっちの方こそかわいすぎるんですけど!?

 いつも余裕ぶってるくせに。からかったりしてくるくせに。


「……好き」


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