幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
やっぱり私、那桜が好き。
好きだからこそ、私は
「那桜が好きだから……彼女になりたい」
那桜とちゃんと恋がしたい。
「え……、泣いてる?」
「泣いてないっ!ちょっとうるっときただけだもん!!」
ゴシゴシと目からなんか出てるものを拭い取る。
「私はっ、ちゃんと付き合って大好きな人と結婚したい。それが那桜だったらいいなって思うけど、まだ高校生じゃん。
それよりもちゃんと、那桜の彼女になりたいよ……っ」
「鏡花……」
「私から秘密にしようって言ったのに、彼女いないって言われるのめっちゃ嫌だったし!私って何なの!?ってなるじゃん!」
これは完全に八つ当たり。我儘すぎて自分勝手すぎて、自分が情けなくなる。
那桜はそんな私を引き寄せて、包み込むように抱きしめた。
「あーーーもう、ほんとにずるいな……」
「ずるい?」
「学校なのに歯止め効かなくなる」
「っ!」
「鏡花、好きだよ。俺の彼女になって」
「〜〜っ、なる……」
その言葉が欲しかった。
嬉しくて胸がきゅうってなって、思いきり那桜を抱きしめ返す。
やっとやっと、ちゃんと恋人になれた――。
「那桜のばか〜〜」
「お嬢のばかは好きって意味ですよね?」
「……否定しない」
「……クソかわいいな」
那桜が何か呟いた気がしたけど、聞き返す前に唇を塞がれた。
また急にされたけど、すぐに目を閉じて那桜のキスを受け入れた。
今まではものすごく恥ずかしくてちゃんと那桜の顔見られなかったけど、今はすごく幸せ。
「えへへっ」
「……俺のこと殺そうとしてます?」
「え?」
「無自覚って怖いな……」