幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「そうなんですか」
「この後サークルで打ち上げやるんだけど、君も来ない?」
「未成年はジュースで大丈夫だから!」


 オイオイオイ!!何言ってんの!?
 もしかしてナンパ!?
 あの女子大生たち、何やってんのよ!!


「すみません、彼女がいるので遠慮します」


 え…………。


「彼女持ちか〜」
「ざんね〜ん」


 い、今那桜、彼女って……。

 バチっと目が合ったかと思うと、ニヤッと笑って口元に人差し指を当てる。
「秘密」って言ってるみたいに。


「ずるい……」


 もうほんと、私ばっかりキュンキュンしてるじゃん……。


「……」


 那桜にときめきまくっていた私は、悠生が私たちの様子をじっと見つめていたことにはまるで気づいていなかった。


* * *


 那桜が桜花組に来て早1週間。


「おい、どうなってやがる……」
「染井那桜、なんであんなに完璧なんだ!?」


 そう、那桜は何をやらせても完璧だった。
 組員たちが意地悪く無理難題を押し付けても、二つ返事でそつなくこなせてしまう。

 それどころか意外にめちゃくちゃ働き者で、掃除でも雑用でも率先してやっている。
 当然ながら腕っぷしの強さは尋常じゃなく、若い衆たちが全く歯が立たない程。


「クソッ、腐っても染井の若頭ってわけか」
「しかも無駄に男前で腹立つ野郎だ!!」


 それは完全に八つ当たりだと思うけど。


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