スイートルーム
「ダメかな?」
にこりと笑う彼。
胸のドキドキは暴走し、全身がガクガクと震え始める。
「はい。大丈夫ですが……。ただ、夕食券の額面が決まっておりますので、それを超えた場合は……」
震える声をなんとかごまかそうと、あたしは何度も息を吸い込みながら説明する。
「あぁ、分かってるよ。差額分は現金払いだね?」
――この人……。
なんでこんなに落ち着いて笑えるんだろう。
さっき、みんなの注目を浴びて、彼女に派手に振られたのに。