スイートルーム
あたしが破ってしまった、ホテルの鉄則。
一般のお客様と個人的な付き合いをしないこと。
でも、相手がVIPクラスになると、この鉄則は適用外になる。
『大物の御機嫌を損ねるな』って言わんばかりの、会社の勝手な都合。
彼はどう見ても、一般のお客様。
今日のVIPリストのどこを探したって、彼の名前は見つからない。
彼は、今日限定の友達。
そういうことで話を合わせてもらおう……。
「……なにしてんの?」
「――っ!!」