スイートルーム


「あれ……? 笹木?」


「……市来くん!!」



――最悪……。


館内に入ってすぐの、目の前にある階段から地下に降りようとしたとき、フロントの市来くんとバッタリ出くわす。



いつもはフロントカウンターの向こう側にいるのに。


なんだってこんな時ばかり、カウンターの外に出て来てんのよっっ!!



市来くんの視線は、すぐにあたしの隣にいた彼に移される。



「あ……っ、お客様は……」


< 36 / 94 >

この作品をシェア

pagetop