スイートルーム


「幼……なじみ?」



ほんの少し勘ぐっているかのような市来くん。

あたしは嘘がバレやしないかと、あさっての方向を見る。



そんなあたしを他所に、彼はいけしゃあしゃあと嘘を重ねる。



「小学校卒業する前に、俺、引っ越して。で、部屋に案内してもらった笹木さんを見て、どっかで見たことあるなぁと」



おい、おい、おい~!!

なんでそう、嘘が上手なの!?



ちらりと、あたしを見る市来くん。

動揺しているのがバレないように、あたしは、うんうんと頷き、彼の嘘に同調する。



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