スイートルーム
【7】チェックアウト
「次郎……――」
このホテルに就職してから。
どんなに悲しいことや辛いことがあっても、常に笑顔でお客様に接してきた。
そんな自分を思い出して、あたしは次郎ににこりと微笑みかけた。
「フロントの人が探してたよ」
「え? なんで?」
きょとんとする次郎に、あたしは笑顔をキープしたまま言う。
「明日の朝食の件で話したいことがあるって」
「朝食……? なんだろ?」