スイートルーム


子供みたいに泣いて、すがりついて、引き止めたいのに。





あたしの嘘を信じた次郎は、素直にフロントに向かった。


あたしは従業員通路に廻って、フロント事務所へと行き、市来くんを呼び出した。





「彼女、戻ってきたな」




すべてを知る市来くん。



市来くんを見た瞬間。

緊張した糸がぷつんと切れて、あたしはとうとう泣き出してしまった。




「彼女いる男はダメだろうが」


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