スイートルーム


軽く説教をしながら、市来くんはあたしの頭をポンポンと叩く。



「うん……うん、分かってるよ」




じゅうぶん分かっている。



彼女のいる男。

ホテルのお客様。


そのどちらにも、関わってはいけないことくらい。



でも、好きになってしまったんだ。



次郎がどんな人なのか、よくは知らない。

だけど、あたしは、心の底から次郎を好きだと思ったんだ。


< 64 / 94 >

この作品をシェア

pagetop