スイートルーム
「俺もうすぐ仕事終わるし。パーッと、飲みにでも行くか!」
鼻をグズグズいわせながら、泣きやむ気配が一向にないあたし。
市来くんが渇を入れるかのように、あたしの背中を思い切り叩く。
「……なんなら、朝まで付き合うぞ?」
「……いやらしい」
キッと睨みつけたあたしを見て、市来くんはフッと鼻で笑い飛ばした。
はじめて会った人に叶わない恋心を抱いた、クリスマスイブの夜。
あたしは、朝方まで市来くんとお酒を飲み……。
たくさん、たくさん、涙をこぼしたんだ。