スイートルーム


次郎は、あたしのそばにいたスタッフをちらりと見たあと……。



「おはようございます」



あたしに他人行儀な挨拶を返した。




……あれ……?

彼女が、いない……。

まだ部屋にいるのかな。



次郎の周囲をキョロキョロと見渡すけれど、彼女の姿はどこにもなかった。


そんなあたしのことなど気にもかけずに、次郎は目の前をスッと通り過ぎる。


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