スイートルーム


なんだって、あたしに当たってしまったんだろう。


……だけど。

次郎の荷物って、バゲージダウンするほど多かったっけ?



チェックインしたときのことを思い出しながら、あたしは次郎のいる2310号室のドアをノックした。




――ガチャ……



ゆっくりと開かれたドアの向こう。


出発する準備を整えた次郎があたしを迎える。



「お荷物を……」


お運びいたします。


そう言いかけた瞬間、次郎はあたしの手をぐいと引き寄せ、部屋の中に入れた。



< 72 / 94 >

この作品をシェア

pagetop