スイートルーム
【8】出発のとき
「どうして!?」
あたしは、自分がホテルマンであることをすっかり忘れ……。
突っかかるようにして、次郎に問いただした。
次郎はあたしの手をゆっくりと離すと、少し黙ったあと、口を開いた。
「このホテルを予約したすぐ後だったかな……」
乱れたままのベッドに腰を下ろし、次郎は呟くようにして話し始めた。
「あいつの浮気が分かってさ」
「……浮気……?」